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徒然 然

アニメ批評など。

話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選

 ブログ休止中ですが、前々から温めてきた記事でもありますので、今回だけは例外的に。

 昨年までは読者側として楽しんでいた「10選」企画ですが、今年は夏アニメあたりから各話感想を呟くようにしてきたこともあって、自分のなかで「話数単位」でアニメをみる土壌が多少なりともできてきたのかな……と思います。というわけで、企画7年目にして初参加させていただきました。ルールは以下の通りです。

・2016年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。

 

 

紅殻のパンドラ』 #.5 「通信障害 -システム・ダウン-」

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脚本:森田繁 絵コンテ・演出:ところともかず 作画監督:吉崎雅博、島田英明 総作画監督:谷拓也

 「パンドーラ・デバイス」使用の是非を彼女自身が問い直し、そしてその答えを見つけ出す回。福音とクラリオンとのダイアローグを通じ徐々に両者の絆は固く結ばれていくわけですが、その端緒であり、またそれをフィーチャーしたのがこの第5話なのだと思います。言葉に伴った各キャラクターの顔の表情の変化も繊細で、七転福音というキャラクターの優しさが詰まったフィルムです。

 

この素晴らしい世界に祝福を!』 第1話 「この自称女神と異世界転生を!」

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脚本:上江洲誠 絵コンテ:金崎貴臣 演出:吉田俊司 作画監督:北村友幸、鵜池一馬 総作画監督菊田幸一

 正直なところ期待値ゼロだった本作、この第1話を何の気なしにリアルタイムで観て一気にその独特な世界観に引きずり込まれました。ファンタジカルなのに良い意味で"泥臭さ"が感じられるキャラクターの動き・表情は、ラノベアニメの新機軸を生み出したと言って差し支えないでしょう。第9話とも迷いましたが、初見時のインパクトの強さを重視してこちらに。

 あと、「このすば」の作画に関しては過去にこんな記事も書いているのでどうぞよしなに。

 

僕だけがいない街』 第五話 「逃走」

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脚本:安永豊 絵コンテ:平川哲生 演出:星野真 作画監督:新井博慧

 愛理ちゃん回。平川哲生さん絵コンテ、主観/客観、イマジナリーラインを意識させる悟と愛理の橋下シーンなど見所多数。土屋太鳳さんの叫びの演技も光る。シナリオ的キーポイントというわけではないが、悟と愛理の関係性という点では最終話までその余韻を残す重要な回でした。

 

キズナイーバー』 第7話 「七分の一の痛みの、そのまた七倍の正体に触れる戦い」

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絵コンテ:宮島善博、小林寛 演出:宮島善博 作画監督長谷川哲也、岩崎将大

 穂乃香が傘を取り払い、仲間と一緒にずぶ濡れになる。センチメンタルな部分に正面から向き合い、痛みを分かち合う。その過程をじっくりと、ていねいな心情描写と共に追う。「雨が止む」のではなく、「雨を受け止める」。全編とおして心根に深く踏み込む作品だけれど、そのなかでもとくに叙情的で、それでいて美しい話数でした。

 

Re:ゼロから始める異世界生活』 第18話 「ゼロから」 

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脚本:中村能子 絵コンテ:長山延好 演出:古賀一臣 作画監督:渡邉八惠子、豆塚あす香、浅利歩惟

 第14話から膨らませ続けたタメを一気に放出して、カタルシスが生まれないわけがない。小林さん・水瀬さん両名の演技はもちろんのこと、情感をストレートかつ繊細にえがき出す顔の表情・種々の演出も素晴らしい。どこを取っても気合いを感じられる話数で、ベタなのを承知でも選出せざるを得ませんでした。

 

ラブライブ!サンシャイン!!』 #8 「くやしくないの?」

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脚本:花田十輝 絵コンテ・演出:浅野勝也 作画監督:森本由布希 総作画監督:平山円、藤井智之、村山公輔、室田雄平

  文字通りゼロからのスタート。第1話と同じ海、千歌と梨子の出会いのシーケンスとリンクさせる。違うのは新たに加わった4人のメンバー。演出としてはベタながらも、重層的な脚本がそれを昇華させる。本作はほんとうに唸らされる話数が多くて、第4話、第12話あたりとも悩みましたが、彼女たちの物語がリスタートを切り、"0から1へ"の萌芽を感じさせるこの第8話を選出しました。

 

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』 Episode 04 「永霊樹の番犬たち」

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脚本:ヤスカワショウゴ 絵コンテ・演出:古川知宏 作画監督:宮前真一 総作画監督:香月邦夫

 演習だけで終わりかと思いきや急転直下の展開。イクタの始原を感じさせる映像・脚本的ピーク、速度感と緊張感のある戦闘描写、POVと浅い被写界深度によるヤトリシノの心情表現……などなど、どれを取っても隙がない。これまでのタメを遺憾なく活かした指折りの良回でした。

 

灼熱の卓球娘』 第十球 「わたしの卓球」

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脚本:小柳啓伍 絵コンテ:入江泰浩 演出:阿保孝雄 作画監督:樋口香里、佐藤友子、池津寿恵、森かや乃、ぎふとアニメーション、多田靖子、森賢、齋田博之、工藤利春、佐藤このみ、沼田広

 卓球経験者としてみると正直やってることは実質異能力モノ。でも圧倒的な熱量の作画と演出でそんなことどうでもよくなる。光側に立つこよりと陰側に立つくるりカット、くるりが校舎の周りの"柵"から抜け出るシーンなど、やってることとしてはどれもストレート。でも、その演出にこよりのまっすぐな気持ちを乗せて視聴者をバシンと打ち抜いてくる、そんな作品を貫く芯を強く感じさせる話数でした。

 

響け!ユーフォニアム2』 第五回 「きせきのハーモニー」

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絵コンテ:三好一郎、石原立也 演出:三好一郎 作画監督:明見裕子、角田有希

 比較的婉曲的に情景描写を散りばめることが多かった本作のなか、がっぷり四つでコンクールをえがききった話数。映像がすべてを物語っていて、ただそこにカタルシスがある。これができるのは京アニだけだろうな、と言ってしまえるほどの、まさに圧倒的なクオリティでした。ほんとうに稀有な映像体験で、これがアニメーションの底力なんだろうな……と。

 

『フリップフラッパーズ』 第6話 「ピュアプレイ」

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脚本:綾奈ゆにこ 絵コンテ:立川譲 演出:博史池畠 作画監督:田中志穂、鶴窪久子

 正直なところ、1作品1話縛りがなければ6~8個はこの作品で埋められていたような気がします。どのエピソードもそれぞれにまったく違った魅力があって、本当にどの話数を選出するか悩みに悩んだのですが、ストーリー的インパクトの強かった第6話に。セピア色の優しい世界のなかに散りばめられる閉鎖のメタファー。現実と心をごちゃ混ぜにするとこうなるのだろうな、ということを直感的に示す作画の変化。そしてラストカット……。『響け!ユーフォニアム2』とはまったく別のベクトルで、映像に主軸が置かれた挑戦的なアニメーションだとつくづく感じます。

 

 

 年内ギリギリ、大急ぎで書いたのでちょっと雑になってしまった部分もあります。今年はTwitterでの各話感想が下半期分しかなかったので若干苦労しましたが、来年はもう少し楽に選出できるかなと思います。ともあれ、個人的には本当に豊作で楽しい年になりました。来年も良い作品との巡り合いがあることを期待しつつ。