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徒然 然

アニメ批評など。

『響け!ユーフォニアム』感想―京アニと「熱血」

 近年の京都アニメーションの青春群像劇としては『氷菓』が真っ先に思い浮かぶ。米澤穂信特有のほろ苦さをややマイルドにしながらも,巧みな心理描写で青春を鮮明に描き出した。一方で,「楽器」「女の子」という観点からは,京アニの代表作である『けいおん!』が挙げられる。その作画力を存分に活かし,数多くの熱狂的ファンを獲得した。

 『響け!ユーフォニアム』はそのハイブリッド,いいとこ取りのアニメになるのではと期待に胸を膨らませていたのだが,そう上手くいくものではなかった。

 

 本作はその本質が最後までまるで見えてこない。「熱血部活モノ」かと思えば次第に部内での人間関係にフォーカスされ,「青春恋愛モノ」かと思えばレズを匂わせ,「主人公の成長モノ」かと思えば終盤まではほとんどスポットを当てられない。「○○モノ」という括り自体が視野狭窄だというのはもっともなのだが,ここまで手を広げられるとただただ雑多な印象しか受けない。物語全体を貫いているのは「全国大会出場」なのだから練習風景を際立たせる構成ないし演出にするのがわかりやすいのだが,「学校生活の一環」として淡々と描かれてしまっていた。あるいは敢えてそうしたのかもしれないが,「4月にはボロボロだった吹奏楽部が数か月で全国大会に出場する」というやや現実離れしたストーリーをリアリティに展開させるには描写が不足していたと言わざるを得ないだろう。

 

 心理描写の表現力はさすがで,要所要所のシーンで唸らされた。表情と空気感だけでこれだけの幅を示せるのは京アニならではといえる。だが,全体を俯瞰してみたときに,明確な心理的転換点を探すことが難しい。カットとしてはどれも美しいのだが,その構成は淡泊なのだ。女子高生特有の漫然とした気怠い態度を表せているといえばそうなのだが,どのシーンも「日常の延長線上」という意識が強く,ストーリーとしての重層性が低いのである。それが結果として先の「練習不足感」をも生み出してしまっているように感じられる。

 最終話はその悪い部分が特に出てしまい,どこか物足りなさが残る幕引きとなってしまった。劇として主人公たちの懸命さは間違いなく汲み取れるのだが,それに同調することができない。終了直後に続編を期待する声が数多く上がったが,作品を見終えたというきっちりとした充足感があれば「続編ありそうだなあ」なぞという気持ちは二の次,三の次に生じるはずなのだ。言うなれば,視聴者は「観客」止まりだったのである。

 

 京アニは画作りでは圧倒的だけど,アツい展開はまだまだ苦手らしいな―そう改めて認識させられる作品であった。